目次
凱旋門賞とは
レース概要
凱旋門賞(Prix de l’Arc de Triomphe)は1920年に創設されたフランス競馬の最高峰レースで、芝2400メートルのGⅠ戦として毎年10月上旬にパリ・ロンシャン競馬場で行われる。フランスを象徴する凱旋門の名を冠し、世界中の名馬が集う「中距離王決定戦」として知られる。深い芝と起伏のある独特のコースが馬と騎手に厳しい試練を与え、その真価を試す舞台となっている。
世界競馬における位置づけ
凱旋門賞は「ヨーロッパ最強馬決定戦」と呼ばれ、世界的にも最も権威あるレースの一つに数えられる。欧州各国の精鋭に加え、日本をはじめとする海外馬も挑戦し続けており、勝利は世界一の証とされる。優勝馬は種牡馬・繁殖牝馬としての価値が飛躍的に高まり、その名は競馬史に刻まれる。ホースマンにとって究極の目標であり、競馬ファンにとっても夢とロマンを象徴する存在だ。
距離・コースの特徴
パリロンシャン競馬場・芝2400mの特殊性
凱旋門賞が行われるパリ・ロンシャン競馬場の芝2400mは、単なる直線勝負ではなく、起伏やカーブのきつさが絡む欧州ならではのタフな条件だ。スタート後すぐに坂を上がり、緩やかな下りを経て最後の直線に向かうコース形態は、一定のリズムで走る日本馬にとって難所となる。馬の持つスタミナとバランス感覚、騎手のコース取りが勝敗を分ける独特の舞台だ。
上り坂や馬場状態の影響
ロンシャンの芝は深く、道悪になることも多いため、速い上がりで勝負する日本馬には不利に働きやすい。特に直線入口で待ち受ける急な上り坂は、残り200mでの脚色を左右し、力強い持続力が試されるポイントとなる。ロンシャン競馬場はコース全体の高低差が10.0mあり、日本の競馬場で最も高低差が大きい中山競馬場(5.3m)の約2倍に達する。こうした起伏の激しさと重い馬場が相まって、欧州馬は適応力を発揮し、道悪巧者が台頭しやすい傾向にある。馬場状態や坂の影響を克服できるかが、日本馬挑戦の大きな課題となっている。

過去の勝ち馬と傾向
欧州馬の強さ
凱旋門賞は創設以来、地元フランスを中心にイギリス、アイルランド、ドイツといった欧州勢が圧倒的な強さを誇ってきた。近年もエネイブルやトレヴといった名牝が連覇を達成するなど、欧州馬の層の厚さが際立つ。芝2400mという距離に加え、タフな馬場や独特のコース形態への適応力が重要であり、日常的にその条件を経験している欧州馬にアドバンテージがある。環境への慣れが勝敗を分ける最大の要因となっている。
2024年 | ブルーストッキング(イギリス) |
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2023年 | エースインパクト(フランス) |
2022年 | アルピニスタ(イギリス) |
2021年 | トルカータータッソ(ドイツ) |
2020年 | ソットサス(フランス) |
2019年 | ヴァルトガイスト(フランス) |
2018年 | エネイブル(イギリス) |
2017年 | エネイブル(イギリス) |
2016年 | ファウンド(アイルランド) |
2015年 | ゴールデンホーン(イギリス) |
2014年 | トレヴ(フランス) |
2013年 | トレヴ(フランス) |
2012年 | ソレミア(フランス) |
2011年 | デインドリーム(ドイツ) |
2010年 | ワークフォース(イギリス) |
過去データまとめ
ゲート番別成績(過去30年)
ゲート1番【1-5-5-19】
勝率3.3% 複勝率36.7%
ゲート2番【3-2-2-23】
勝率10.0% 複勝率23.3%
ゲート3番【4-4-1-21】
勝率13.3% 複勝率30.0%
ゲート4番【3-5-0-22】
勝率10.0% 複勝率26.7%
ゲート5番【2-1-2-25】
勝率6.7% 複勝率16.7%
ゲート6番【6-0-0-24】
勝率20.0% 複勝率20.0%
ゲート7~11番【5-9-13-118】
勝率3.4% 複勝率18.6%
ゲート12番以下【6-4-7-133】
勝率4.0% 複勝率11.3%

人気別成績(過去15年)
1番人気【3-2-2-8】
勝率20.0% 複勝率46.7%
2番人気【4-3-0-8】
勝率26.7% 複勝率46.7%
3番人気【1-1-3-10】
勝率6.7% 複勝率33.3%
4番人気【1-1-0-13】
勝率6.7% 複勝率13.3%
5番人気【1-0-2-12】
勝率6.7% 複勝率20.0%
6番人気【1-1-4-9】
勝率6.7% 複勝率40.0%
7~10番人気【2-6-3-49】
勝率3.3% 複勝率18.3%
11番人気以下【2-1-1-100】
勝率1.9% 複勝率3.8%

牡・牝・セ別成績(過去30年)
牡馬【20-21-24-305】
勝率5.4% 複勝率17.6%
牝馬【10-9-6-78】
勝率9.7% 複勝率24.3%
セン馬【0-0-0-3】
勝率0.0% 複勝率0.0%
年齢別成績(過去30年)
3歳【18-10-17-162】
勝率8.7% 複勝率21.7%
4歳【4-10-10-106】
勝率5.5% 複勝率18.4%
5歳【3-6-2-62】
勝率4.1% 複勝率15.1%
6歳【0-4-0-18】
勝率0.0% 複勝率18.2%
7歳以上【0-0-0-10】
勝率0.0% 複勝率0.0%
性別+年齢別成績(過去30年)
牡馬3歳【14-4-12-124】
勝率9.1% 複勝率19.5%
牡馬4歳【4-10-10-106】
勝率3.1% 複勝率18.5%
牡馬5歳【2-4-2-49】
勝率3.5% 複勝率14.0.%
牡馬6歳【0-3-0-15】
勝率0.0% 複勝率16.7%
牡馬7歳以上【0-0-0-10】
勝率0.0% 複勝率0.0%
牝馬3歳【4-6-5-36】
勝率7.8% 複勝率29.4%
牝馬4歳【5-0-1-28】
勝率14.7% 複勝率17.6%
牝馬5歳【1-2-0-8】
勝率9.1% 複勝率27.3%
牝馬6歳以上【0-1-0-4】
勝率0.0% 複勝率20.0%
セン馬全年齢【6-4-7-133】
勝率4.0% 複勝率11.3%

日本馬の挑戦の歴史
スピードシンボリから近年のシンエンペラーまで
日本馬の凱旋門賞挑戦は1969年のスピードシンボリに始まり、その後もナカヤマフェスタ、オルフェーヴル、キズナ、クロノジェネシス、そして昨年のシンエンペラーなど、多くの名馬が挑戦してきましたが、これまで一度も勝ったことは無い。国内で圧倒的な実績を残した馬たちが世界最高峰の舞台に挑む姿は常に注目を集め、日本競馬界の悲願として大きな夢を背負ってきた。
2024年 | シンエンペラー(12着) |
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2023年 | スルーセブンシーズ(4着) |
2022年 | タイトルホルダー(11着) |
2022年 | ステイフーリッシュ(14着) |
2022年 | ディープボンド(18着) |
2022年 | ドウデュース(19着) |
2021年 | クロノジェネシス(7着) |
2021年 | ディープボンド(14着) |
2020年 | ディアドラ(8着) |
2019年 | キセキ(7着) |
2019年 | ブラストワンピース(11着) |
2019年 | フィエールマン(12着) |
2018年 | クリンチャー(17着) |
2017年 | サトノダイヤモンド(15着) |
2017年 | サトノノブレス(16着) |
2016年 | マカヒキ(14着) |
2014年 | ハープスター(6着) |
2014年 | ジャスタウェイ(8着) |
2014年 | ゴールドシップ(14着) |
2013年 | オルフェーヴル(2着) |
2013年 | キズナ(4着) |
2012年 | オルフェーヴル(2着) |
2012年 | アヴェンティーノ(17着) |
2011年 | ヒルノダムール(10着) |
2011年 | ナカヤマフェスタ(11着) |
2010年 | ナカヤマフェスタ(2着) |
2010年 | ヴィクトワールピサ(7着) |
2008年 | メイショウサムソン(10着) |
2006年 | ディープインパクト(失格) |
2004年 | タップダンスシチー(17着) |
2002年 | マンハッタンカフェ(13着) |
1999年 | エルコンドルパサー(2着) |
1986年 | シリウスシンボリ(14着) |
1972年 | メジロムサシ(18着) |
1969年 | スピードシンボリ(着外) |
惜しい2着や挑戦馬の共通点
過去にはナカヤマフェスタやオルフェーヴルが2着と惜しくも涙を飲んだ。彼らの走りに共通しているのは、高い瞬発力と持続力を併せ持ちながらも、重馬場やタフなコースへの適応がわずかに届かなかった点だ。日本馬は切れ味で勝負するタイプが多く、欧州のスタミナ比べに苦戦しがちであるが、それでも上位争いに食い込む力を示し続けている。
2025年の注目馬
日本馬候補
2025年は「クロワデュノール」「ビザンチンドリーム」「アロヒアリイ」の3頭が挑戦予定。クロワデュノールは持続力に優れ、長丁場の消耗戦で真価を発揮できるタイプ。ビザンチンドリームは切れ味鋭く、日本馬らしい瞬発力を武器に挑むが、馬場適性が鍵となる。アロヒアリイは総合力の高さで安定感があり、スタミナと適応力を兼備している点が魅力。世代屈指の実力馬が揃い、悲願達成の期待が高まる。
欧州馬の有力どころ
地元フランスからは「アヴァンチュール」が筆頭。持ち味は道悪での粘り強さで、ロンシャンの重い芝では大きな武器となる。アイルランドの「ミニーホーク」は瞬発力と底力を兼備したエリート血統馬で、過去の名馬たちと同じ厩舎の管理下にある点も信頼感がある。いずれも地の利と経験を活かし、日本馬にとって最大の壁となる存在だ。
凱旋門賞の楽しみ方
現地観戦や日本での視聴方法
凱旋門賞は毎年10月にパリロンシャン競馬場で行われ、世界中から多くのファンが集まります。現地では格式ある雰囲気と大歓声に包まれ、まさに競馬の祭典そのもの。日本ではJRAがライブ中継を行い、テレビやネット配信で視聴可能。深夜の時間帯ではあるものの、自宅で現地の熱気を感じられ、日本からでも臨場感あふれる観戦が楽しめる。凱旋門賞は23時05分(現地時間16時05分)の発走予定となっています。
馬券の買い方(海外馬券発売)
日本では2016年から凱旋門賞の馬券発売が始まり、JRAを通じてインターネットで購入可能となりました。普段国内競馬を楽しむ感覚で海外レースに参加できるため、ファンにとっては大きな魅力。出走馬の調子や血統、欧州の馬場適性を読み解くことで、国内馬券とは違った戦略性を味わえる点も魅力です。海外競馬の一体感を馬券で共有できる貴重な機会といえるでしょう。